●富岩鉄道→富山電気鉄道(富山地方鉄道)富岩線→国鉄富山港線
1943年6月1日買収

<路線概要>
 富山港線は、港町の岩瀬と富山を連絡するために富岩鉄道により建設された路線である。1924年に富山口〜岩瀬港(現、岩瀬浜)を、1927年には富山口〜富山を開業している。全通以降、沿線は電力資源などの好立地条件を背景に工業地帯化が進む。そして、岩瀬港の改修に合わせ1936年に西の宮(現、大広田)〜岩瀬埠頭(後の富山港)の貨物線を開通させ、1938年には富山市が建設した富山〜日曹工業前(後の奥田)を開通と同時に借り受けて運行している。この貨物量の増大に合わせて電気機関車が購入されている。
 1941年には折から県内の交通統合を進めてきた富山電気鉄道に吸収合併される。同社は1943年1月に交通調整法に基づき、黒部鉄道、越中鉄道、富山県営鉄道、富山市電など県内の交通機関を合併し、富山地方鉄道になったが、当線は1943年6月1日付けで国に買収された。

 戦後、1958年に富山貨物駅〜蓮町の貨物短絡線が非電化で開通した。しかし、電車のほうは買収車の楢山と化し、国鉄鋼製車が入線したのは1965年、そして架線電圧が600Vから1500Vに昇圧されたのは1967年のことで、いずれも買収線の中で最も遅かった。なお、貨物線のほうは1944年および1958年に非電化にされている。

 その後、富山新港開港に伴うこの地域の相対的価値低下と国鉄再建の煽りを受け、1984年に富山〜奥田、1986年に富山貨物駅〜蓮町、大広田〜富山港が廃止され、貨物輸送としての富山港線は使命を終えている。

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