◆移籍車 2009〜2017年度導入 その1


 2009年度は3年度ぶりに移籍車が導入された。ここから平成6年排ガス規制車(KC-)の移籍が本格化する。また移籍車では初のワンステップ車で、以降2015年度までは1両を除きワンステップ車となった。続く2010・2011年度は移籍車の大半が大型車であった。しかも、もとの事業者に関わらずいすゞKC-LV380Lの富士7E架装、逆T字窓、ワイドドアで統一された点が特筆される。2013年度にも大型車が1両追加されたが、これも同じ仕様で結果として4つ事業者から集めたことになる。
 さて、2004年度まで移籍車は数の多少はあれ4メーカー全てを導入しており、その後も2005〜6年度は日野といすゞの数が拮抗していた。しかし2009年度以降日製傘下を離れる2017年度までは、いすゞが大半となる。この9年度間で40両が移籍したが、うちいすゞが34両を占め残りは日野の中型が6両である。
 まずは、平成6年排ガス規制の車両が主に移籍した事業者をとりあげる。なお、2012年度は移籍車の導入が無かった。

 
・もと山陽電気鉄道

 営業エリアは狭く車種はいすゞばかりながらも、エアサスの高出力・大型車をそろえていた為、事業者によっては好んで導入していた同社からの移籍車。平成6年排ガス規制になると、車両の低床化が進み従来とは異なる事業者への移籍事例も出現するようになる。電鉄に移籍したのは、同社初のワンステップ車で中型の短尺車である。年式は全車同じだが電鉄での登録は2年度に跨った。

 水戸200か1092

いすゞKC-LR333F +IBUS 2009年度移籍
2011年12月 高萩駅

KC-LRのワンステップ車が本格化する前の製造なのか、窓の高さがツーステップ車と同じ。もともと前面のヘッドライト間に行灯があったが移籍時に撤去された。
 

 水戸200か1096

いすゞKC-LR333F +IBUS
2015年3月 日立駅 2009年度移籍

側面の行き先表示はもともと前扉直後の上半分にあったが、電鉄移籍時に下半分に移設した(1092を参照)。しかし、左後方確認に問題があったのか、窓ごと上下を入れ替えている。
 

 水戸200か1104

いすゞKC-LR233F +IBUS 2010年度移籍
2016年8月 日立駅

 

 水戸200か1109

いすゞKC-LR333F +IBUS 2010年度移籍
2015年3月 日立駅

この車両だけ、側面の行き先表示を中扉直後に移設している。

 
・もと東武鉄道(川越観光自動車)

 2003年度以来の移籍となったもと東武鉄道の車両。ただし、大型車が鉄道から分社された東武バスグループから直接移籍したのに対し、中型は子会社の朝日自動車グループに属する川越観光自動車を経由している。

 水戸200か1114

日野KC-RJ1JJCA +日野車体 2010年度移籍
2015年3月 日立駅

低床ではあるがステップは2段。ツーステップ車および前後扉車として電鉄最後の導入となった。

 

 

 
2012年2月 大みか駅

 

 水戸200か1191

いすゞKC-LV380L +富士7E 1998年1月製・2011年度移籍
2011年8月 日立駅

前面窓下にワンステップ車であることを示す行灯があったが、移籍時に埋められている。 側面の方向幕の位置はもともと中扉直前で移籍時の変更はない。なおエアコンはゼクセルである。

 

 

 
2011年8月 日立駅

東武のU-LV・KC-LVは通常リアの左側コンビネーションランプ下にある給水口が、前中扉間にあるのが特徴。似た仕様の、もと横浜市営車との識別点になる。
 

 水戸200か1193

いすゞKC-LV380L +富士7E 1998年1月製・2011年度移籍
2011年8月 日立駅

この時期、路線網の大幅縮小と中型の導入が相次いだためか東武はいすゞKC-LVのワンステ・ツーステを合計5両しか導入していない。このタイプも2両のみで、揃って電鉄に移籍した。

 
・もと相模鉄道

 1990年代後半に入り、車両が移籍するようになった相模鉄道(2001、2010年に相鉄バスに分社)。同社はいすゞ・ふそう・日デの3メーカから導入していたが、電鉄に移籍したのは、いすゞの大型車のみである。2010年度に一挙に5両が移籍した。

 水戸200か1141

いすゞKC-LV380L +富士7E 1998年3月製・2010年度移籍
2011年8月 日立南

7E・ワンステ・ワイドドアで一番最初に移籍したのが、もと相鉄の車両。エアコンは富士重工製。 側面の行き先表示は前扉直後上部にあったが、これを埋めて中扉直後に新設している。
 

 水戸200か1143

いすゞKC-LV380L +富士7E 2010年度移籍
2016年3月 日立駅

 

 水戸200か1152

いすゞKC-LV380L +富士7E 1998年9月製・2010年度移籍
2011年8月 日立南

 

 

 
2006年3月 日立南

リアのナンバーは車体中央にある。
 

 水戸200か1153

いすゞKC-LV380L +富士7E 2010年度移籍
2016年8月 日立駅

 

 水戸200か1154

いすゞKC-LV380L +富士7E 1998年9月製・2010年度移籍
2012年2月 日立駅

 
・もと横浜市交通局

 1990年代後半に昭和58年排ガス規制の車両が移籍するようになったが、平成元年排ガス規制の車両では電子式AT車が殆どだったため移籍事例が途絶えていた横浜市交通局。AT車を止めた世代から移籍事例が復活している。電鉄に移籍したのは、いすゞの大型車2台のみである。なお、横浜市交のいすゞ車は川重〜IBUS系の車体を架装したものが標準だったが、移籍した車両が製造された1997年度のみ富士重工が架装した。

 水戸200か1183

いすゞKC-LV380L +富士7E 1997年12月製・2011年度移籍
2019年1月 日立市幸町3丁目(海岸工場入口)

エアコンはゼクセル。もともと側面の方向幕は前扉直後にあったが、移籍時にその直後の窓と入れ替えている。結果、同年度に移籍したもと東武の車両と極めて似た外観となった。扉上部の蛍光灯の有無・中扉の光電管の位置などで、見分けることはできる。
 

 水戸200か1184

いすゞKC-LV380L +富士7E 1997年12月製・2011年度移籍
2019年1月 日立市鮎川町1丁目

 

 

 
2018年12月 多賀駅

 
・もと京成電鉄

 京成電鉄(2003年10月に京成バスに分離)は関東大手の中では使用年数が長めで移籍事例は皆無に等しかった(1997年に電鉄に送迎車が1両移籍したのは数少ない例外)。しかし2000年頃から系列の関東鉄道が大量に受け入れるようになり、更に排ガス規制強化で事業者間の使用年数が平均化されたため移籍事例が増えた。この時期の電鉄へは2013・2015年度に大型1両、中型3両が移籍している。うち、いすゞの中型2両は分離子会社を経由している。

 水戸200か1398

いすゞKC-LR333J +富士8E 1998年9月製・2013年度移籍
2016年3月 日立市幸町1丁目(平和町)

新製時の配置先は奥戸で、同営業所の分社で京成タウンバス、さらにちばシティバスに異動している。

 

 

 
2017年4月 日立駅

 

 水戸200か1402

いすゞKC-LR333J +IBUS 2013年度移籍
2018年3月 日立駅

こちらも、奥戸→タウン→シティの経歴を持つ。富士重工を架装した1398と仕様の面では大きな差はない。側面の方向幕の位置は導入年度の差による。、
 

 水戸200か1414

いすゞKC-LV380L +富士7E 1999年1月製・2013年度移籍
2014年3月 神峰

エアコンはゼクセル。側面の行き先表示の位置はもとから中扉直前である。バンパーが下側をカットした形状なのが特徴。
 

 水戸200か1667

日野KK-RJ1JJHK +日野車体 2003年製・2015年度移籍
2017年8月 日立駅

京成は平成10年排ガス規制車(KK-)の中型も当初は中扉に4枚折戸を採用していたが2002年度より引戸になった。電鉄のRJ+日野車体で唯一前面の下側が白くなっているのはエルガミオの影響か?

 

 

 
2017年8月 日立駅

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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