◆神奈電の車両 総説・形式別目次


●概要
 神奈川電気鉄道の在籍車両のうち旅客車両(鋼索線は除く)は、1989年3月現在で電動車59両、制御車33両の計92両である。
路線規格の関係で、愛甲線は20m級車が入線可能だが、相北線は19m以下、秦野・大山線は16.5m以下に限定される。
1968年までは自社発注車と他事業者の譲渡車を平行して導入していたが、その後は沿線人口の急増に伴いの譲渡車のみとなっている。
こうしたこともあり、車両数に対して形式数が非常に多くなっている。

大戦後の自社発注車は多くが日車製である。
一方、譲渡車は国鉄の買収国電を出自とするものが多かったが、現在は京王帝都、西武の車両が増えている。
他には阪神、京成、富山地鉄と少々変わった事例が続く。
なお、車両増備の過程、および譲渡元の変遷など詳細はこちらを参照されたい。

●機器構成
同一形式で形態が異なるものが存在するなど、外形的なバラエティに富む一方、機器の面では統一が図られ、自由な編成組成を可能としている。

旅客車は全車両、ブレーキは自動制動(AM)、主制御器は電空カム軸式を中心とする自動加速式となっている。
これは、前身の愛甲鉄道が芝浦RPC系、大山電気軌道が日立PR系と、どちらも電空カム軸式を採用していたことがきっかけで、戦後は国鉄のCS1・CS5を搭載する車両の導入、更には機器の払下げに繋がった。なお、戦後の自社発注車および近年の譲渡車では日立製の電動カム軸式(MMC)を採用しているが、マスコンは国鉄のMC1に統一されているため、特に問題なく混結している。

駆動方式は、殆どが吊りかけ式で、主電動機は愛甲線・相北線が国鉄MT15など定格出力100kwクラスを、大山・秦野線は60〜70kwクラスを中心に使用している。
1985年より導入された冷房車の一部では、国鉄DT-21台車とMT46主電動機を採用し、初の中空軸平行ドライブとなっている。

●塗装
旅客車輛および電動貨車については、オレンジとベージュのツートーンである。
これは1966年頃から採用したもので、それまではライトグリーンとアイボリーのツートン、さらに1953年より前は茶色の一色塗りであった。
機関車についてマルーンを採用している。

●附番基準
1967年に全車両の改番が実施され、以下の法則に基づいたものとなっている。
 モハ3721
(1)(2)(3)(4)

(1)車種1=制御車・附随車
2=合造(荷物)電動車=2
3=電動車
(2)最大車両長0=20m以上
8=18m以上 19m未満
7=17m以上 18m未満
・・・
1=11m以上 12m未満
(3)形式制定順(荷物電車は9 固定)
(4)入線順片運転台の場合
 奇数:平塚中央・愛甲中津・津久井川尻向き
 偶数:秦野町・大山下・半原・淵野辺向き

かつ固定編成の場合は、奇数向き車両の番号に1を足したものを偶数向き車両の番号とする。

●編成表
神奈電の車両 編成表

●形式別目次
愛甲線、相北線
3000、1000もと西武鉄道501系
3010、1010もと西武451、551、571、601系
1800もと国鉄クハ6110←青梅電鉄モハ500新
3810自社発注車(機器流用車)
3820もと富山地方鉄道クハ90
3700愛甲鉄道発注車 川造型
2710自社発注車
3720、1720自社発注車
3730(モハ3731〜3733)もと国鉄モハ1520←鶴見臨港鉄道モハ330←モハ500
3730(モハ3735〜3737)もと国鉄モハ2000←南武鉄道モハ150
1730もと国鉄クハ5510←鶴見臨港鉄道サハ220
3740もと京王帝都電鉄デハ1700
3750もと京成電鉄モハ600
3770もと京王帝都電鉄2010系
秦野・大山線
3600もと鉄道省キハ41000
3610自社発注車
3620もと国鉄モハ2320←宮城電気鉄道モハ800
3630自社発注車
1500もと国鉄←南武鉄道クハ500
1510富士山麓電鉄モハ1 車体流用
3530もと国鉄モハ1310←宇部鉄道モハ33
3540もと上田丸子電鉄モハ4255←国鉄モハ1500←鶴見臨港鉄道モハ110
3400、1400大山電気軌道発注車 丸窓
2410秦野電気軌道発注車
3420、1420もと国鉄←南武鉄道モハ100
3440もと京王帝都電鉄デハ2400
1450もと阪神電気鉄道861 (喫茶店)
そのほか
2190大山電気軌道発注車 荷電
280相北電気鉄道発注車 WH型電機
403自社発注車 東芝戦時型電機


▲神奈川電気鉄道の記憶 表紙へ
inserted by FC2 system