第5輯.早起きは三連の得  〜地方電鉄のラッシュ専用編成〜

 
 地方私鉄というとたいてい単行や2連の電車が走っているものですが、朝のラッシュ時のみ、3両編成が出現する路線も多くあります。ただし、このラッシュ時の主な乗客である高校生が1990年をピークに少子化の影響を受けてかなり減っており、こうした増結列車も規模縮小にあるようです。
ここでは、地方私鉄が最もその能力を発揮する、ラッシュ時の主役達を紹介します。


(1)北陸鉄道浅野川線
 1997年に昇圧が行われたあとは、使用車両が元京王3000系に統一されたため、この3両編成の列車は見ることが出来なくなりましたが、自社発注の15m級車による朝の3両編成がこの路線の名物でした。
 昇圧直前には一部車輌が先行して廃車になったこともあり、予備だったモハ3563が活躍していました。





昇圧直前の3連
上:モハ3551+クハ1001+モハ3563 3563は最後の戦前製だった。
下:モハ3501+モハ3301+モハ3011 先頭2両は内灘町の特別塗装になっていた
1996-10-8 蚊爪〜粟ヶ崎


(2)名古屋鉄道揖斐線
 名鉄揖斐線には朝ラッシュ時に三両編成が2本運用されていた時期があります。ここも車輌に関しては近代化が図られ、これも既に過去の編成になってしまいましたが、現在は路面電車スタイルの新車780型による3重連があります。




上:伊良自川を渡る510型3重連 モ514+モ512+モ513 1994-4-4 旦ノ島―尻毛
下:渋目の魅力があった750型と2320型の3連 1996-10-21 美濃北方

(3)日立電鉄
  これは1両長い4両編成。形は全車異なりますがもと小田急1000型の改造車です。同電鉄には、たくさんのラッシュ専用編成がありましたが、私は動いているところを見ることはできませんでした。
現在はもと営団地下鉄銀座線の車輌に置き換えられましたが、ラッシュ専用の電車は今でも健在です。ただ、最長は3連になってしまいました。



モハ1005‐サハ1501−モハ1002−モハ1004 1989-4-8 常北太田


(4)高松琴平電鉄長尾線
  現在、国内で百鬼夜行的な3両編成の電車を見ることができるのは、いまやこの長尾線くらいになってしまいました。しかし、毎朝必ず4組の編成が出動し、しかも編成は日替わりなので、いろいろな編成を見ることができます。ここでその全てを紹介するのは無理なので、4例ばかりをお目にかけます。



左上:オリジナル両運転台車による三重連 315+510+100 1998-7-6 元山〜水田
右上:玉野+東濃+オリジナルの三重連  760+71+500  1999-10-10 白山〜井戸
左下:新旧混成の3両編成          500+702-701 1999-4-19 西前田〜高田
右下:オリジナル+2両固定の30型     300+26-25   1998-11-1 池戸〜農学部前


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