Spårvagn(路面電車)


 ストックホルムには成り立ちの異なる4っつの路面電車がある。
ストックホルムは1877年に馬車鉄道の、1901年には路面電車の運行がはじまっている。1930年代には最盛期を迎えたが、以降は地下鉄への置き換えが前提となり、1967年の左側通行から右側通行に変更した時に郊外の専用軌道を走る3路線を除いて廃止。さらにその後1路線が廃止になり2路線にまで減っていた。
その後、2000年代に入り2つの路線が開業した。既存路線も車両の置き換えなどリニューアルが実施され現在に至る。
路線は12系統と22系統が繋がっているが、機能的には全路線独立している。どの路線も標準軌、架線電圧750Vである。

路面電車の車両について

Nockebybanan(ノッケビー線=12系統)

 ストックホルム西郊、地下鉄緑線のアルヴィク(Alvik)を起点にノッケビー(Nockeby)に至る全長5.6kmの路線。1914年に、都心から延びてきた路線の延長で、まず一つ目のアレンパルケン(Alléparken)まで開業、その後1923~1929年にかけてノッケビーまで順次開業した。1952年の地下鉄緑線開業で都心方面への路線が廃止され、孤立路線となった。その経緯は東急世田谷線に似ている。
 当初はバスへの置き換えが計画されていたものの、路線の存続が決定したため1997~1998年に軌道のリニューアルを実施。2009年には車両の置き換えが実施されている。全線複線で、運転間隔は平日が6~12分、日曜日中は20分である。

(撮影日:2019年10月7日)

1.アルヴィク~アレンパルケン

2.ノッケビー

Lidingöbanan(リディンゲ線=21系統)

 ストックホルム市街の北東、地下鉄赤線の終点ロプステン(Ropsten)を起点にリディンゲ島南部を横断してゴシャーガ桟橋(Gåshaga Brygga)に至る全長9.2kmの路線。2009年までは鉄道線扱いであった。
 1914年に工場進出に伴い、Herserud~Parkvägenが開業、1916年までにゴシャーガ桟橋まで開通している。その後、1925年にリディンゲ橋(Lidingöbron)の開通に伴いHerserudからロプステンまで延長、ストックホルム市内電車と直通するようになった。なお、リディンゲ島にはリディンゲ橋から島の北部に向かう路線もあり、1967年以降も存続していたが1971年に廃線になっている。2013~2015年に軌道のリニューアル・車庫の改築と車両の総置き換えを実施。また複線区間の延長が行われた。現在は7系統との接続計画がある。
 1982年までは貨物列車も走っていたが、現在は旅客列車のみである。運転間隔は20分が基本で、平日夕は10分、平日朝は全線通しが10分間隔のほか途中駅のAGAまたはコトラ(Kottla)で折り返す電車が加わる。
 
(撮影日:2019年10月8日)

1.リディンゲ橋とその前後

2.リディンゲ島内

Tvärbanan(横断線=22系統)

 ストックホルムの北部にあるソルナ(Solna)から西部のアルヴィク、南部のグルマルス広場(Gullmarsplan)を経て南東部のシックラ(Sickla)を結ぶ全長19.0kmの路線。いわば外環状線であり、都心部から放射状に延びる各路線と交差(Tvär)することからこの路線名がついた。
 2000年2月に地下鉄緑線グルマルス広場駅と、同赤線リリエンホルメン(Liljeholmen)駅の間で開業した。同年7月にリリエンホルメン~アルヴィク、2002年4月にグルマルス広場~シックラ岬(Sickla Udde)が開業。その後は暫く間が空き、2013~2014年にアルヴィク~ソルナが開業、そして2017年にシックラ岬~シックラが開業し現営業区間が全通した。なお、アルヴィクを境に信号システムが異なるため当初は直通運転ができなかったが、2017年に解消している。現在、北ウルブスンダ(Norra Ulvsunda)で分岐してブロンマ空港を通り通勤電車のヘレネルンド駅に至る路線が計画されている。
 専用軌道区間が多いものの、併用軌道やセンタリザベーションも随所にみられる。また専用軌道区間には高架線・隧道、海峡を越える大橋などがあり、自由で多彩な線形になっている。
 運転間隔は7~10分。列車は連節車の重連である。

(撮影日:2019年10月7日)

1.シックラ、リンデ

2.オルスタダル~アルヴィク

Spårväg City(市街電車=7および7N系統)

 ストックホルムの中心地・地下鉄中央駅(T-Centralen)を起点に、博物館や遊園地が並ぶユールゴーデン島(Djurgården:動物園の意)のヴァルデマル岬(Waldemars udde)を結ぶ全長3.5kmの路線。
 1991年に動態復元した保存車を走らせる目的でノルマルム広場(Norrmalmstorg)~ヴァルデマル岬が開通したことに始まる。当時は、非営利のスウェーデン路面電車協会(Svenska Spårvägssällskapet 公式サイト)による運営だった。その後、2010年にノルマルム広場から都心側に延長、車両も低床の新車を投入して都市交通の一員となった。当初は噴水広場(Sergels Torg)までであったが、2016~2018年に一旦路線閉鎖の上で地下鉄中央駅前まで延伸した。
 運転間隔は7~8分。路線の性格上、休日の方が混む路線である。
一方、保存車(7N系統)の運営は今もスウェーデン路面電車協会である(運賃は共通)。基本的に4~12月の土日に運行している(7N系統の公式サイト(日本語))。

(撮影日:2019年10月6日)

1.中央駅~海浜道路

2.ユールゴーデン島

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