神奈川電鉄をたずねて
◆秦野線・大山線の列車運行

 大秦線はその歴史的経緯から、秦野線平塚中央〜豊田本郷に大山線が乗り入れている。
 この区間は単線でありながら、1時間あたり6〜8本の本数を裁いていることが特筆される。

基本的には両路線とも全線通し(平塚中央〜秦野町および平塚中央〜大山)の運行で、途中駅折り返しは一部時間帯に平塚中央〜伊勢原があるのみである。
 日中は20分毎の運行で、この時の交換駅は、平塚中央〜秦野町系統が追分、飯島、秦野高校下、平塚中央〜大山系統が追分、岡崎城址、川上、子易になる。両線の列車が重複する平塚中央〜豊田本郷は10分毎で、平塚中央と豊田本郷で事実上両系統の列車交換が行われている。
 日中の運用は平塚中央〜秦野町系統が4運用で2両編成、平塚中央〜大山系統が5運用で3両編成である。大山系統の電車は伊勢原以北の急勾配の関係で、必ず2M1T編成になっている。


 朝夕は15分毎の運行で、この時の交換駅は、平塚中央〜秦野町系統が追分、寺田縄、青柳、斎ヶ分、平塚中央〜大山系統が追分、矢崎、伊勢原、道灌塚、子易になる。両線の列車が重複する平塚中央〜豊田本郷では、中原と追分で両系統の交換が行われているが、特徴的なのは追分で行われている2重交換である。これは列車密度を高めるために取られているもので、手順は以下のとおりで
  1、平塚中央→秦野町と秦野町→平塚中央が同時入線で交換、秦野町行きはすぐに発車。
  2、平塚中央行きは更に2分30秒停車し、平塚中央→大山と交換、その後直ちに発車
    なお、秦野町ゆきはこの時に中原駅で大山→平塚中央と交換する。
  3、大山行きは更に2分30秒停車し、大山→平塚中央と交換、両列車とも直に発車
これを1時間に4回くり返し、この区間での1時間あたり8本の運転を支えている。
 朝夕の運用は平塚中央〜秦野町系統が5運用でうち3両編成3本、2両編成2本である。
一方の平塚中央〜大山系統は6運用で2両編成だが、平塚中央〜伊勢原では全列車2両が増結される。この増結分の運用数は4である。伊勢原以北へ行く基本編成は急勾配の関係で2M編成になっている。

 なお、運用の都合上、昼間の大山運用の2本と秦野運用の1本が、朝夕は入れ替わり、それぞれ秦野運用・大山運用として使われる。
秦野・大山線 路線案内へ


●秦野線・大山線 昼間〜夕ダイヤ(抜粋)
■■平塚中央〜秦野町 系統(2両編成区間)
■■平塚中央〜秦野町 系統(3両編成区間)
■■平塚中央〜大山 系統(2両編成区間)
■■平塚中央〜大山 系統(3両編成区間)
■■平塚中央〜大山 系統(4両編成区間)
■■回送
※ダイヤ中色付の番号およびアルファベットは、各運用を例示するために便宜上振ったもの

秦野・大山線 ダイヤ

・創作ノート 単線ではどこまで運転間隔を詰められるか?
 単線鉄道というと、ルーラル輸送の路線をイメージするため、1時間毎といった過疎ダイヤのイメージを持たれ易いものです。
しかし、実際には高頻度運転を実現している例もあります。
江ノ電や遠州鉄道、伊豆箱根鉄道大雄山線の12分間隔が有名ですが、それより細かい間隔もあり、たとえば高松琴平電鉄志度線の10分間隔(朝夕のみ 2駅毎に交換)の例があります。更に、西鉄宮地岳線の貝塚〜三苫では6分15秒間隔で運転されており、全駅で交換が実施されているようです。

 秦野線・大山線の場合、それぞれ単体で見た場合15〜20分間隔ですが、両線が輻輳する平塚中央〜豊田本郷では列車密度が倍になります。特に15分間隔の時は2重の2重交換を行っていますが、このような実例は特急列車が絡む例を除けば、先ずないと思います。
これに車両の増結解放が加わるので複雑怪奇なものに・・。いちばんややこしいのがこの路線です。

 宮地岳線
 単線ながら6分15秒間隔で運行される西日本鉄道宮地岳線

▲ 列車運行の特徴 へ

※このページについて inserted by FC2 system