神奈川電鉄をたずねて
◆愛甲線 路線案内

愛甲線 配線図


愛甲線 平塚中央〜半原 28.8km
駅 名 区間
粁程
累計
粁程
標高 平均
勾配
区間
最大勾配
備考

●最小曲線半径
 180m(丸山〜海底)
●最急勾配
 33.5‰(海底〜田代)

●主な橋梁
 玉川橋梁(愛甲戸田〜酒井)
 小鮎川橋梁(元町〜妻田)
 中津川第一橋梁(海底〜愛甲田代)
 中津川第ニ橋梁(愛甲田代〜馬渡)

●隧道
 馬坂隧道(丸山〜海底)
 馬渡隧道(馬渡〜中津渓谷)
 深沢隧道(馬渡〜中津渓谷)
 原下隧道(中津渓谷〜半原)

●その他構造物
 妻田高架線(元町〜妻田)
 
平塚中央 ひらつかちゅうおう 0.0 0.0        
平塚市役所 ひらつかしやくしょ 1.0 1.0       (旧称 平塚宮松町) 
相模八幡 さがみやわた 0.8 1.8        
四ノ宮 しのみや 1.3 3.1        
鹿見堂 ししみどう 1.5 4.6        
相模田村 さがみたむら 1.0 5.6 10      
大神 おおかみ 1.2 6.8 10      
下戸田 しもとだ 1.4 8.2 10      
愛甲戸田 あいこうとだ 0.8 9.0 10     戸田変電所 
酒井 さかい 1.2 10.2 15      
岡田 おかた 1.3 11.5 15      
厚木 あつぎ 1.4 12.9 20      
元町 もとちょう 0.8 13.7 20     (旧称 厚木元町) 
妻田 つまだ 1.5 15.2 25 上 4.1   妻田変電所 
松蓮寺 しょうれんじ 1.5 16.7 40 上 11.3   厚木車庫・厚木工場
荻野新宿 おぎのしんしゅく 1.3 18.0 52 上7.6    
中荻野 なかおぎの 1.3 19.3 65 上10.0    
鳶尾山口 とびおさんぐち 1.0 20.3 75 上10.0    
まつかげ台 まつかげだい 1.1 21.4 95 上18.2 30  
上荻野 かみおぎの 0.9 22.3 105 上11.1    
丸山 まるやま 1.0 23.3 125 上20.0 30  
海底 おぞこ 1.6 24.9 100 下18.2 30  
愛甲田代 あいこうたしろ 0.9 25.8 85 下16.6 33.5 田代変電所 
馬渡 まわたり 0.9 26.7 100 上15.0    
中津渓谷 なかつけいこく 1.3 28.0 120 上15.4    
半原 はんばら 0.8 28.8 125 上 6.3    

神奈川電鉄が走る町と駅(愛甲線篇)

 神奈川県中央部に位置する平塚市は、相模川(馬入川)の河口にあり、もともと東海道の宿場町、そして港(須賀港)のある町であった。しかし明治時代に火薬工場(海軍火薬廠)が設置されたことから、軍需工場が立地し、以降工業都市としての性格を強めていった。市制施行は1932年、神奈川県下では比較的早いほうである。
 本線格の愛甲線は、この平塚を起点に北へと路線を伸ばしている。その起点駅は「平塚中央」を名乗っている。しかし、「中央」といっても、所在地はJR東海道線平塚駅の真ん前。何故こんな駅名になったのかは謎である。 バス停名称に合わせたとの話もあるが・・・・。
 それはともかく、駅自体はテナントビルの1階にある駅舎につながる頭単式2面4線の旅客施設と、東海道線(貨物線)との連絡線や駅東側の油曹所への側線を持ち、ターミナルの風格を備える。この、3・4番線から当線の列車は発着している。
平塚駅 ターミナル

 次の平塚市役所駅までは秦野線との単線並列運転になっている。しかし、列車の並走はなかなかみられない。大きくカーブして北に進路を変えると、旧国道と踏み切り交差、そして国道1号線をアンダーパスし平塚市役所駅に着く。神奈川電鉄本社の最寄り駅でもある。

 ここから暫くは平塚郊外の住宅地と工業地帯の境を相模八幡、四ノ宮、と進んで行く。 四ノ宮は、現在でも当社系列の砕石工場があるが、相模川で砂利採掘が行なわれていた時はその側線があり、愛甲線貨物営業の要だった。相模川の砂利採掘中止後も砕石工場と周辺の工場への貨物輸送は継続されていたが、貨物輸送が廃止になった今はガランとした広い構内が広がるのみである。
貨物の名残


 鹿見堂、相模田村と相模川沿いに工業団地を見ながら進む。大神の先で、東海道新幹線をアンダーパスすると、車窓には一転して田園風景が広がる。愛甲線の中で丹沢・大山の山並みをもっともきれいに見ることができる区間である。やがて、平塚市から厚木市に入り下戸田、そして旧相川村の中心地で相模川の渡し場であった愛甲戸田と進んでゆく。かつてはここにも砂利側線があり一大採掘地であった。
新幹線 山並み 相模川

 新玉川を渡り酒井、東名道をくぐり岡田。このあたりは1968年の東名高速道開通以降、その厚木ICが設置されたことから、流通基地として発展している。それらの倉庫群が住宅に、そして商店に変わると、愛甲線の要である厚木である。2面3線の構内の南側では小田急電鉄線がオーバーパスしている。また、ここで乗客の多くが入れ替わる。

厚木市街  厚木は古くから愛甲地区の物産集積地・相模川水運の要所として、また矢倉沢往還(大山街道)の宿場町として栄え、1955年に周辺村を合併して市制施行した。その厚木の町は相模側沿いに市街地があったため、愛甲鉄道は市街地の西側に駅を設け、後に小田原急行鉄道(現在の小田急電鉄)も乗り入れた。しかし、旧市街の手狭になったものの拡張が難しいことから、1970年頃より駅の更に西側の開発がすすめられ、現在は町の中心に神奈川電鉄・小田急の厚木駅がある形になった。また駅前には「厚木駅バスセンター」があり、古くから開設されている七沢、宮ヶ瀬、依知方面の各線をはじめ緑ヶ丘・毛利台・愛甲原といった団地への路線バスが頻発している。
→厚木市街地図
渋滞を横目に
 さて、厚木までは平坦な線形であったが、ここからは基本的に上り片勾配になる。
厚木市街の北外れにある元町を過ぎると、築堤を駆け上がり小鮎川を下路式ガーダー橋で渡る。
この先暫らくの間、神奈川電鉄唯一の高架線を走るが、これは国道129(および246)号線厚木バイパスの建設に伴うものである。上下計6車線の同バイパスをオーバーパスすると地平に降り妻田である。
 ここから国道412号線に並走するが、先述の国道246号線と合流する関係で、渋滞で有名な厚木近辺の道路でも特に混雑が激しい。このため、近年では自動車利用を止め、電車を利用する人が増えているようである。

 この辺りから、徐々に勾配がきつくなり、20‰以上の勾配も随所に登場するようになる。松連寺には厚木車庫と厚木工場があり、神奈川電鉄の車輌は一度は顔を出す要所である。その次の荻野新宿は、片面ホームであるが、厚木方面の渋滞を避けるために宮の里行きと中津・三増方面のバス路線が発着し、電車接続ダイヤで運行している。また近くに大学がありその利用客でもにぎわっている。
 だんだん住宅地の合間に桑畑がひろがるようになり中荻野、鳶尾山口と進む。駅名のとおり、かつては鳶尾山への登山口以外何もないようなところであったが、昭和40年代半ばに大規模な団地が造成され景観は一変した。この結果、乗客が増えたため、平日朝にはここから厚木までの区間列車が設定されるている。
電車の館 山越え

半僧坊山門 次のまつかげ台は、同様に造成された団地の為に設置された駅で、神奈川電鉄で最も新しい駅(1970年開業)である。そして、山はいよいよ深くなり上荻野、丸山と登りつめると、切通しに続く全長400mあまりの馬坂トンネルに突入する。ここがサミットで、今度は中津川に下るために一転して下り勾配が連続するようになる。行政区分が厚木市から愛川町に変わり、山肌に沿ってカーブを繰り返し勾配を駆け降りて行く。その途中に海底(おぞこ)がある。そして、平山半僧坊の山門を左手に眺め、トラス橋梁の中津川第一橋梁を渡ると愛甲田代である。

トラス橋梁 県道 平山橋 乗り換え

中津渓谷  愛甲田代には、かつては愛川町の役場があった。が、町の東南部である中津地区が発展したこともあってか、1975年に箕輪辻に移転していった。また、木材の製材所への側線があって、貨物取り扱い量も多かったが、今は工場もろとも無くなっている。それでも列車運行上は現在でも要所で、平塚側からの約半数の列車がここで折り返し八王子〜田代系統と接続する。この為構内は島式・相対式ホームを1本ずつ備えた3線になっている。

田代を出ると再び緩やかな上り勾配になる。中津川を再度渡ると馬渡、そして馬渡隧道を抜けるとその中津川に沿って走る。この区間は、ゆるやかにカーブした川沿いの桜並木が美しく、電車の撮影名所になっている。深沢隧道を抜けると中津渓谷駅でこれも戦後の新駅である。ただし本当の中津渓谷は半原〜宮ヶ瀬のあたりを指すのだが・・・。

半原と中津川  そして最後の原下隧道を抜けると、ほどなくして終点半原となる。
山間でありながら、もとより盛んだった蚕業と、中津川の水車を利用した八丁式撚糸機による絹糸産業で栄えた町で、その輸送を目的として愛甲線は延長されたのである。また、町の北側には横須賀市水道の沈殿池があり専用線が伸びていたが、戦後はこれを利用して津久井中野への路線が敷設された。

駅は町の西側の山沿いにある。 かつて撚糸の積み出しで使われた貨物ホームが残っており、今は自転車置き場になっている。

写真解説
半原の工場 山間の町


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